小児泌尿器科とは
小児泌尿器科は、尿が作られる腎臓、尿の通り道、精巣、陰茎などに疾患を持つお子さんを対象にした診療科です。この時期は夜尿症(おねしょ)や包茎などによって日常生活に支障をきたすこともあります。下記のような症状が見られたときは、お気軽にご連絡ください。
こんな症状はご相談ください
- 健康診断などで尿検査の異常を指摘された。
- 小学生になったのに、おねしょが治らない
- 昼間におしっこを漏らすことがある
- おしっこの回数が多い、少ない
- おちんちんの先がはれたりかゆがる
小児の主な泌尿器疾患
夜尿症
生まれてから数年間は、誰もが「おねしょ」をしますが、成長とともに排尿機能が整っていき、ある程度まで排尿をコントロールできるようになります。夜尿症は、5歳を過ぎた段階で、夜間の睡眠中に尿失禁(おもらし)をしてしまう状態が3か月以上、続いている疾患です。このような失禁が治らないことを心配されておられる保護者の方も多いのですが、7歳の段階でも約10%のお子様に見られる症状であり、通常は年齢が上がるに伴って解消していきます。但し、成人になっても尿失禁が完全には治まらないケースも0.5%から数%ほどあります。痛みのない検査で排尿状態を把握して、行動療法や、お薬投与などご相談していきます。寝ている間の失禁が気になるときは、一度、ご相談ください。
過活動膀胱
急に尿意をもよおし、トイレまで間に合わなかったりして漏れてしまったりする状態です。成人の方でもみられる症状症候群です。小さなお子様は、まだ排尿状態が安定していませんので、このようなことはおこりますので、治療対象とはなりません。
5歳以降でこのような症状でお悩みの方は、一度、ご相談ください。
水腎症
水腎症は、尿路が狭くなったり、流れが滞ったりすることにより、腎臓の一部が大きく拡張してしまう病気です。先天性の発生異常もありますし、後天性の尿石症や腫瘍、炎症が原因となって引き起こされることもありますが、小児の場合は先天的な狭窄が大半です。
水腎症の検査では腹部エコーを行います。痛みはない検査で診断できます。水腎症を認める場合、経過観察となる場合と手術治療が必要な場合があり、適切な施設へご紹介させていただきます。
小児の包茎
おちんちんの亀頭が包皮に覆われ、露出不可能な状態を包茎と呼びます。包皮の先端が狭いため、亀頭を出せないものを真正包茎、包皮をめくれば亀頭が出るものを仮性包茎と呼びます。一般的に包茎という場合は、真正包茎を指します。なお、2歳くらいまでの男児の大半は真正包茎です。さらに、小学生になった段階でも約30%は包茎だと言われています。従って、この年齢までは、原則として治療の必要はありません。但し、排尿が困難であるケース、繰り返し感染を引き起こすケースでは、手術を行い、症状の改善を目指します。
停留精巣
精巣が陰嚢内になく、鼠径部(ふとももの付け根)にあったり、お腹の中にある状態をいいます。現在は生後、6か月から12か月の間に手術をすることがすすめられています。
手術可能な施設へご紹介させていただきます。
移動性精巣
精巣が陰嚢内にあったり、上の方に上がったりする状態のことをいいます。
陰嚢内にも降りていることがあるのは停留精巣とは違うところです。この場合は、手術の適応でないことが多く、経過観察となります。
陰嚢水腫
陰嚢内に水がたまることをいいます。成人の方でもおこりますが、小児の水がたまる原因はお腹の中とつながっているためであることが多いです。自然に、お腹とつながっている部分が閉じてしまうことも多いため、経過観察となることが多いですが、3歳以降も消失しない場合、手術をすすめられます。